腰にコルセットを巻いて仕事をする。
休憩中に、腰を拳でトントン叩く。
腰痛体操やストレッチを続けているのに、しばらくするとまた痛くなる。
その腰痛が繰り返されるのは、痛い腰だけを見続けているからかもしれません。
私は作業療法士として、介護分野を中心に18年間、さまざまな腰痛と向き合ってきました。
その経験から感じているのは、痛みが出ている場所と、そこへ負担を集めている原因は、必ずしも同じではないということです。
対策をしても腰痛を繰り返す理由
腰痛を防ぐ方法として、身体の構造を利用して負担を減らすボディメカニクスや、人を力任せに持ち上げないノーリフティングなどが広く知られています。
腰痛体操やストレッチ、マッサージなども、症状を和らげるための大切な方法です。
しかし、これらを続けても腰痛を繰り返す方がいます。
その場合は、介助方法や持ち上げ方だけでなく、普段の姿勢や身体の使い方によって、作業を始める前から腰へ負担が集まっていないかを確認する必要があります。
慢性腰痛は一つの原因では説明できない
慢性腰痛とは、一般的に3か月以上続く腰の痛みを指します。
筋肉や関節への負担だけでなく、生活習慣、睡眠、ストレス、痛みに対する不安など、複数の要因が関係すると考えられています。
原因を一つに特定できないからといって、改善する方法がないわけではありません。
姿勢や動きを確認すると、日常生活の中で特定の場所へ負担が集中していることがあります。
痛い腰は、頑張りすぎた場所かもしれない
慢性的な筋肉の痛みは、身体の一部が頑張り続けているサインとして現れることがあります。
例えば、腰を反った姿勢が長く続けば、腰まわりの筋肉は身体を支えるために働き続けます。
反対に、骨盤が後ろへ傾いた姿勢では、腰まわりの筋肉や組織が引き伸ばされた状態が続きます。
どちらかの姿勢が、すべての人にとって悪いということではありません。
問題になるのは、同じ姿勢のまま、同じ場所へ負担が集中し続けることです。
その状態で中腰の作業や重い物を持つ動作を繰り返せば、すでに疲れている腰へ、さらに負担が加わります。
腰を使ったから突然痛くなったのではなく、すでに頑張っていた腰へ、最後の負担が加わったのかもしれません。
股関節の動きにくさを腰が補っている
腰へ負担が集まる背景の一つに、股関節の動きにくさがあります。
椅子に座る時間が長くなると、股関節を曲げた姿勢が続きます。
この状態が続くことで、大腰筋を含む股関節前面の筋肉が硬くなり、股関節を十分に伸ばしにくくなる場合があります。
大腰筋は、腰椎から太ももの骨へつながる身体の深い場所にある筋肉です。股関節の動きや姿勢に関わっています。
股関節で不足した動きを、身体は別の場所で補おうとします。
その一つが腰です。
股関節が伸びにくい分、腰を反って身体を起こす。この動きが繰り返されれば、腰には少しずつ負担が蓄積していきます。
もちろん、すべての慢性腰痛が大腰筋や股関節だけで起きるわけではありません。
しかし、腰へのケアだけで改善しない場合には、股関節や骨盤まで確認する価値があります。
腰で持たずに、お尻で持つ
股関節がうまく曲がらないと、床の物を取るときや身体をかがめるときに、腰や背中から先に曲がりやすくなります。
これでは、腰に負担が集中します。
大切なのは、腰で持たずに、お尻で持つことです。
股関節から身体を曲げ、お尻や太ももの大きな筋肉を使って身体を起こす。そうすることで、腰だけに頼らずに力を出しやすくなります。
軽い物を持つときの動きを、一度確認してみてください。
- 腰や胸から先に曲がっていないか
- 股関節から身体を曲げられているか
- 腰だけで身体を支えていないか
痛みを我慢して試す必要はありません。痛みのない範囲で、自分の動きを観察するだけでも気づきがあります。
慢性腰痛を改善する二つの視点
慢性腰痛を改善するためには、次の二つの視点が大切です。
- 普段の姿勢を見直し、腰へ集中している負担を減らす
- 股関節から動き、お尻や脚を使える身体の使い方を取り戻す
痛い腰をマッサージやストレッチで緩めることも、症状を楽にするためには大切です。
しかし、腰へ負担を集めている姿勢や身体の使い方が残っていれば、痛みを繰り返す可能性があります。
腰だけを楽にするのではなく、腰が頑張り続けなくてもよい身体へ戻していく。
それが、慢性腰痛を改善するための大切な考え方です。
痛い場所と、原因は同じとは限らない
慢性腰痛は、一つの原因だけで説明できるものではありません。
だからこそ、痛い腰だけを見続けるのではなく、なぜ腰が頑張らなければならなくなったのかを考える必要があります。
- 普段の姿勢はどうなっているか
- 股関節は十分に動いているか
- 腰以外の場所を使えているか
痛い場所は、原因ではなく、負担が集まった結果かもしれません。
腰痛のない生活を目指して、腰だけを見ることから一度離れ、身体全体のつながりを見直してみてください。
※強い痛みやしびれ、脚の筋力低下、発熱、排尿・排便の異常などがある場合は、自己判断せず医療機関へご相談ください。
オンライン相談のご案内
遠方の方や、まず姿勢とのつながりを知りたい方は、オンラインでの相談も可能です。
画面越しに姿勢を見ながら、痛みと体のつながりを一緒に確認します。
体験のご案内
福岡市で、訪問型の姿勢ケアを行っています。
「もう仕方ない」と感じている方こそ、一度ご相談ください。
「腰痛は仕方ない」と諦める前に、一度だけ。
腰も、体も、いくつからでも変えられます。





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